~招致は白紙に戻し、くらし・いのち守ることを最優先に~
2023年11月7日
道労連事務局長 中川 喜征
10月11日、札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は、2030年札幌冬季オリンピック・パラリンピック招致を断念することを正式に発表した。札幌市の秋元市長は、「招致に対する道民・市民の支持が十分に広がっていない」ことを断念の理由として説明した。いっぽう、2038年以降の招致については、取り下げていない。
冬季オリンピック招致に対する世論調査では6割から7割の札幌市民が「反対」の意向を示している。この結果は、2021年東京大会での汚職・談合事件の不信感や、大会経費増大への懸念が大きいことを反映している。同時に、一時的な経済効果にしかならない五輪より、除雪対策強化をはじめとする暮らしへの支援や、社会保障、教育の拡充を求める声もあげられている。
北海道の鈴木知事は「JOCと札幌市の協議を見守る」とし、招致の賛否を保留してきたが、10月27日の札幌市秋元市長との懇談で「いったん立ち止まり、招致の在り方について議論する必要があるのではないか」と述べ、招致に消極的な姿勢を示した。
北海道・札幌市とも、住民不在で推し進めてきた招致活動の結果であることを真摯に受け止めることが必要だ。札幌の市民団体が行った住民投票実現を求める署名運動は、民主的な市政運営を求める声であり、当然の主張である。
道労連は、北海道と札幌市に対し、住民不在の道政・市政運営を反省して冬季オリンピック・パラリンピック招致の議論を白紙に戻すことを求める。同時に、空前の物価高騰に苦しむ道民・市民のくらしといのちを守る施策を最優先に議論して実行するよう求める。
以上
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