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執筆者の写真道労連 DOROREN

2021年の最低賃金改定に関する談話

【談話】2021年の最低賃金改定に関する談話


2021年8月5日

北海道労働組合総連合

事務局長 出口 憲次


 北海道地方最低賃金審議会は8月5日、2021年度最低賃金について、北海道地域別最低賃金を中央最低賃金審議会の目安同と額である「28円」引き上げて時間額889円とする答申をした。答申された額は、私たちが求めてきた「全国一律1500円以上」には程遠く、東京など大都市との格差解消も据え置かれたままとなるもので、極めて遺憾である。また昨年、北海道の最低賃金は「凍結」されたことをふまえると、2年分の改善を強く切望してきた道内労働者の期待を裏切るものであり、28円の引き上げでは不十分である。


 経営者側は、最低賃金の引上げによって、企業の人件費を増やした結果、倒産、廃業や雇用調整を招く懸念があり、その引き金となるなどの理由から最低賃金の引き上げに否定的な態度に終始した。

 コロナ禍で、真っ先に生活苦に陥っているのは最低賃金近傍ではたらく労働者であり、そこに負担と責任を負わせ、最低賃金を抑え込むべきとの主張には一遍の正当性もない。今後の地域経済の発展にも背を向ける「自分だけ」「その場だけ」の姿勢であり認められない。本来、コロナ禍のもとで経済活動にストップをかけているのは国であり、そのもとで必要な支援は国に求めるべきである。


 道労連をはじめ全労連とその地方組織は、全国で「最低生計費試算調査」を取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせる」には、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかにしてきた。5月には「全国一律最低賃金制度の実現を求める署名」16万筆を国会に提出し、党派を超えた110名もの国会議員が紹介議員となった。

 

 現局面の経済悪化は、コロナ禍以前からの賃金低下、消費税の引き上げなどによる個人消費の落ち込みなどが主な要因である。コロナ禍にあっても2020年度の税収は過去最高となり、中でも法人税の伸びが顕著で、大企業の内部留保も膨らみ続けている。それらを活用した公正な取引の実現と中小企業への支援を強化すれば、最低賃金の大幅な引き上げや全国一律制度の確立は十分に可能である。

 最低賃金はすべての労働者の賃金と生活にかかわり、日本経済の行方を左右する時の政府の重要な施策である。コロナ禍でその重要性がいっそう高まっている。政府に対し、最低賃金の引き上げが可能となる中小企業支援策をいますぐ具体的に明らかにするよう求める。


 道労連が行った求人情報時給調査では、コロナ禍で最も影響を受けている飲食業において、最低賃金が28円引き上げとなれば札幌市内777社のうち98.1%の企業で募集時給が引上げられることになる。一昔前とは比べ物にならないほど、最低賃金の影響力と効果は高まっている。

 道労連は、引き続き賃金の引き上げ、地域間格差の是正などに全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。


以上

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