現場の「声」と「思い」があふれ出す
もっと賃金をあげてほしい。せめて物価高騰分は賃上げしてほしい。無数にあふれている「現場の声」を、奥深くに押し止めている「現場の声」や思いを持ち寄り、「#節約術より賃上げを」の共感を広げるため、道労連・道春闘共闘は2月4日にJR札幌駅南口前で「ローカル・ビッグ・アクション」街頭集会を実施しました。苫小牧や釧路(12日)で街頭行動、旭川や函館ではツイッターデモが取り組まれました。
ローカル・ビッグ・アクションの目的は、3月9日の回答集中日の約1か月前のこの時期に、「賃上げなしじゃ終われない」という労働者・労働組合の姿勢を経営者・財界に突きつけ、譲れないラインを下回るならストライキを含む実力行使でのぞむ構えを示すことです。また、「99%」の人たちが賃上げを求めているということを、社会的にも共有・可視化して賃上げの大きなうねりをつくり出すことです。
道労連の三上議長は、日本全体で労働者の賃金が上がらない状態が30年もの間続き、さらに40年ぶりという物価高騰が暮らしを直撃しているなかで、「政府も企業に賃上げを『お願いせざるを得ない』事態だ。賃上げできる大企業が実施するのは当然で、もっと早くやれ、と言いたい。
いっぽう、企業数の99・7%を占める中小企業は、賃上げしたくてもできない深刻な状況が続いている。労働者の7割が働く中小企業で賃上げが実現しなければ、格差が拡大するだけになってしまう。岸田首相や大企業に任せていては、すべての労働者が実感できる賃上げは実現できない」と指摘。「みんな苦しい、私だけじゃない」「会社の経営も厳しい」と、わがままを言うな、という同調圧力に押しつぶされそうになっているかもしれない。
でも、あなたの暮らしの現実は、今の物価高のもとで、個人の我慢も節約も限界を超えているのではないか。どんなに苦しくても、黙っていては変化は生まれない。ひとりでは声をあげられなくても、同じ思いの仲間がたくさんいる。みなさんの共感が、応援が、賃上げ実現への最大のパワーになる」と呼びかけました。
「現場からのリアルVOICE」では、保育士、看護師、JR運転士、子育て世代から、それぞれが直面している困難や思いをスピーチしました。通りがかった人たちからは、「モノの値段ばかりあがって本当に困る。給料アップしてもらいたい」「電気・水光熱費料金も値上がりしてて、厳しい冬を越さなければならない北海道では死活問題だ」などの共感・激励の声が寄せられました。
もっと子どもたちに向き合える保育制度へ
福祉保育労・光星はとポッポ分会
保育士 桑田 実望 さん
札幌市の保育園では、昨年の8月から園内でコロナ陽性者が出た場合でも学級閉鎖や休園はせず、濃厚接触者は追わないことになった。保護者に家庭保育をお願いすることがなくなりホットてしている反面、濃厚接触の子どもたちも登園して来ることで、感染者が急拡大した。
保育園はどこも人手不足であり、子どもたちに丁寧に接したくてもついつい「待ってね」だったり、じっくり子どもたちの話を聞いてあげたくても、別の子どもがケンカをしていれば「後でね」となってしまいます。子どもたちの「いま聞いてほしい」をかなえてあげられず、心が苦しくなる時もある。
また、賃金の面では「処遇改善」(の手当)をもらっても、物価は高くなる一方で、生活が豊かになったわけではない。光熱費も上がり、この寒さを乗り切ることで精いっぱい。春闘では、保育士が誇りをもって働き続けられるような賃金アップを求める。
医療の安全・安心は人手を増やすこと
北海道医労連
看護師 中野 奈織美 さん
もともと医療現場は慢性的な人手不足だったが、コロナ禍でその脆弱さが誰の目にも浮き彫りになった。患者さんと関わり、先輩から学び、多職種の方と連携することを通じて身につけることがたくさんあって成長していくが、いまは日々の業務をこなすのが精いっぱいで、十分な時間をかけて後輩の指導にあたることが困難な状態。
患者さんからも「いつも忙しいね」「ナースコール行ってきなよ」などと気を使われる場面が日常的にあり、いま目の前で私たちの手を必要としている人たちにさえ、十分にかかわりを持つことができず、申し訳なさでいっぱい。
人員が増えれば、患者さんと関わる時間がもっと持てる。日々多数ある確認業務を複数の目で行うことで安全な医療を提起でき、患者さんの安心につながる。「忙しそうだから自分で行った」と、転んでしまう可能性の高い患者さんに、気をつかわせることなくトイレ介助ができる。
多忙であると気持ちが焦り、やらなければならない先のことを考えてしまい、ミスや事故につながりかねない。そうやって常に緊張した状態で何時間も働くことは精神的にも疲弊する。現場に人手を増やすために大幅な賃金の引き上げとあわせて、看護師の増員を求めたい。
賃上げ、格差是正で安全・安定輸送を守る
建交労北海道鉄道本部
JR運転士 加藤 豊 さん
この3年間、歓送迎会など飲酒を伴う行事は中止や自粛。感染予防に細心の注意を払いながら、安全・安定輸送を守るために努力してきた。
JR北海道では青年労働者の早期退職が続き、このままでは列車の安全・安定輸送に支障をきたすのではないか心配だ。人口が多く、山の手線や東海道新幹線などのドル箱路線を持つ本州のJR各社との賃金格差が大きく、冬期間は雪とたたかいながら、列車を安全に運行するために24時間、頑張り続けている。仕事量は多いのに、ボーナスを加えた年間収入は、40代で百万円以上も差がある。
将来不安を抱く理由には、一緒に汗を流している60歳を迎えた先輩たちが、基本給は大幅に削られ、扶養手当や住宅手当が支給されなくなり、寒冷地手当・燃料手当も支給されないことにあると思う。年齢に関係なく冬の寒さは誰もが感じるもので、暖房がなくては北海道の冬は暮らしていけない。
物価の高騰分を補填できる大幅な賃金引き上げが必要。「賃金上げろ」の声を高め、労働者の切実な声が現場から湧き上がるようたたかう。
これ以上節約は無理!声あげ変化起こそう
北海道勤医労(医労連)
ケアワーカー 小野寺 麻弥 さん
札幌市内のデイサービスでケアワーカーをしていて、中1の男の子と小4の女の子の子育てをしながらパートで働いる。食べ盛りの子供がいると食費がかさみ、バランスの良い食事のために必要な卵、牛乳、肉や魚、野菜に油、調味料まで値上がりし、「ため息」が出る。
息子は硬式野球をしているのですが、バットやグローブはもちろん、スパイクは1年で履けなくなってしまう。あと2年もすれば、高校受験のため塾の授業料や学費など、一体いくらかかるのかと考えると頭が痛い。
電気代が高く、節約しようと思って通常よりも低いエコモードに切り替えたのに、前の年3万円代だったものが5万3千円になった。本当にショック。
私たちパート職員には、寒冷地手当がない。これ以上節約とか無理。それよりも、賃金を上げる事が必要。一緒に声を上げることで何か変化を起こせると思う。もし要求が叶ったら何年も買うのをためらっていた冬のコートを新着したい。
賃上げで物価高騰跳ね返そう!
スタンディングと戸別配布でアピール ~苫小牧
「今年の春闘でなんとして大幅な賃上げを実現しましょう。全ての人が安心して暮らせる社会の実現を目指して、この地域からも国民の声を連ね、政治を動かし、日本の経済構造を変えていこうではありませんか」と、2月4日の朝、市役所前の国道36号線沿いで宣伝カーから元気な声が響き渡りました。
全道一斉の「ローカルビッグアクション」に呼応して、国民春闘苫小牧春闘共闘会議から19名が大一文字「♯今こそ賃上げで日本を元気にしよう!」を掲げ、通過する車両にアピールしました。
横山代表幹事はマイクを握り、「政府と経済界が賃上げの実現に前向きな姿勢を示しているように見えますが、それだけでは一部の大企業でしか賃上げは実現しません。中小零細企業なども含め全ての職場で賃上げを実現するためには、アベノミクスでゆがめられてきた富裕層にしか恩恵が及ばない日本の経済政策を転換させていく必要があります」と告発しました。
さらに、エネルギ-をはじめ物価の高騰も政府の政策を変えることで抑えられることを訴え、「所得に応じた適切な課税をすることで、社会保障や教育の負担も軽減できます。子育てや老後の生活への不安も解消し、労働の成果を安心して消費に向けられる社会を実現しましょう」と呼びかけました。
スタンディング宣伝終了後、苫小牧地区労連の「春闘で物価の高騰を跳ね返そう!」チラシと、全労連の「労働組合をつくって未来を変えよう」のチラシ、計2000枚を携え各戸配布に取り組みました。
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