目安どおりで上積み無しに抗議 -最賃改定額が決定
過去最高でも苦しさ変わらず
最低賃金(最賃)の改定額が決まりました。今年は40円アップして、10月1日から時間額960円になります。昨年の平均引き上げ額である31円を上回り、過去最高額の引き上げ幅となりましたが、コロナ禍での疲弊や歴史的な物価高騰に直面しているもと、1000円にすら届かない引き上げ額では不十分です。
道労連は異議申立を行い「再審議」を求めましたが、8月23日の北海道最低賃金審議会で「棄却」されました。5月に総務省が発表した全国消費者物価指数の対前年同期比は3・2%と、21カ月連続で上昇しています。さらに北海道は、23カ月連続で上昇しており、「40円」では物価高騰を後追いするだけで、最賃近傍で働く労働者の生活改善にも、経済の活性化にもつながりません。
24県で上積み 40道県が平均以下
今年度より、中央最低賃金審議会(中賃)が目安を示すための区分として設定されていたランク数が4から3へ変更され、地域間格差の是正につながることが期待されていましたが、中賃の段階ではAランク41円、Bランク40円(北海道など)、Cランク39円とむしろ格差を拡大する目安でした。
各地の審議会では、「地域間格差の是正」が焦点となり、佐賀県の8円上積みをはじめ東北地方など24県で目安額を上回る改定を引き出しています。
全国平均(加重平均)は時給で43円増の1004円になりますが、この「加重平均」は人口比で算出されるため、東京や神奈川など大都市の水準が多分に影響します。その結果、「平均」額である1004円を上回っているのはAランクの7都府県のみで、あとの40道県は「平均以下」というのが実態です。
地方から格差是正「全国一律」実現へ
道労連など全労連加盟の各県労連は、全国28の都道府県で「最低生計費試算調査」に取り組み、「8時間働けば人間らしく暮らせるようにするためには、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかにしてきました。
物価高騰は低所得者ほど重荷となります。地域間格差を広げる今回の目安は意義も根拠も不明確であり、最賃法の目的にも反するものです。2020年度から2022年度にかけて、223の自治体で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択されており、そうした「地方の声」は年々強くなっています。
政府・財界は、その声に真正面から応えるべきです。最低賃金には労働者の生活保障や格差を是正する機能があり、「分配の適正さ」が求められています。引き続き、貧困問題やジェンダー平等の観点からも、物価高騰に対応できる最低賃金の大幅引き上げと、全国一律最低賃金制度の確立に向けて、職場と地域から最低賃金の大幅引く上げを求める声を広げましょう。
Photo:Syunsuke Yoshioka
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