ボトムアップへ組織の活性化を重点に
道労連第36回定期大会を開催
道労連は7月23日に札幌市かでる2.7で「第36回定期大会」を開催。現場の声に徹底してこだわり、現場の声をパワーに変え、広げていくことに注力する方針を満場一致で決定しました。その中心的な取り組みに位置付けたのは「組織の活性化」です。発言では、現場の声を職場の要求として束ねて、その要求実現を現場の力で勝ち取るなかでこそ組織拡大につながるとの教訓や、自分はなぜこの仕事や組合活動を大切に思っているのかを語り、伝えるなかでつながりを深めていくことの重要性が語られ、「現場の声」にこだわる重要性を共有する大会となりました。
ひとり一人の声が届き誰の目にも見える運動を
道労連議長 三上 友衛
今年の大会は、一堂に集まることができた。顔が見える、ダイレクトに熱量を感じられる討論を通じて、たたかう決意を固めあいたい。
岸田・自公政権による、いのち、くらし、平和、あらゆる分野で労働者・国民への攻撃が激しさを増している。新型コロナの教訓をまったく活かさず、社会保障を削減し、大軍拡に邁進している。史上空前の物価高騰に、労働者や中小企業へのまともな支援もない。
北海道おいても、4月の統一地方選挙で自民・公明が過半数を占め、鈴木道政の継続を許した。国と同様に北海道新幹線札幌延伸、半導体工場の誘致など、北海道を大企業の儲けのために差し出す悪政が続いている。
こうした攻撃に、最賃引き上げの必要性を社会的な課題に押し上げるなど、一定の反撃はできているものの、まだまだ不十分。労働組合、社会運動でこうした攻撃に立ち向かう体制を立て直す必要がある。直接話しをする、議論する機会が奪われ、要求や行動への熱量を上げられない、というのが、私たちに共通する課題だ。
労働者が怒るべき課題がいくらあっても、黙っていれば労働者は立ち上がらない。いまこそ組織された労働者、私たち労働組合が、たたかう方向と展望を示し、ひとり一人の労働者の声が届く、目に見える形で立ち上がることが求められている。
今秋以降には、解散総選挙もありうる情勢だ。多くの職場・地域で我慢が強いられ続けている。労働者の「声」を結集して、切実な要求の実現と悪政転換に立ち上がろう。
声と力は現場にある
春闘・統一闘争の立て直しへ
中川喜征事務局長が、2023年度の運動方針を提案。道労連はこの一年、労働組合の伝え方、届け方に工夫を凝らし、コロナ以前のような、日常を取り戻すため、現場からの声を可視化すること、当事者の声を運動に反映させることにこだわり、奮闘してきたことを強調。国民課題や雇用・暮らしを守るため、産別・地域の垣根をこえ、全道の仲間をつなぐローカルセンターの役割を発揮し、一人ひとりの声を束ねることで共感をつくりあげ、世の中を動かすパワーにかわることを確信し、「声を上げることを大切にしてきた」と振り返りました。
春闘討論集会ではグループワークを通じて「譲れないライン」を決めて闘うことの重要性を共有してきたことや、ローカルビッグアクションでは「#節約術より賃上げを」を合言葉に現場の声を発信することで、共感が広がっていく様子を紹介。メーデーは4年ぶりの大規模集会を実施し、北海道集会では1200人の参加者に加え、当日参加できない組合員の声が書かれた「要求の桜カード」が咲き誇り、現場の声が大きなパワーになることの重要性を伝えました。
道労連が現場の声を出発点とし、現場の声にこだわる闘いを貫いてきたことで、どうすれば賃上げなどの切実な要求を前進させられるのか、について考え、話し合い、声を上げることが必要と感じた人が増え、労働組合が声をあげれば変えられる!という変化につながりつつあり、方針から組織運営のいたるところまで「現場の声」に徹底してこだわる労働組合運動へ転換することを位置づけました。
また、北海道知事選挙は、全国で唯一現職対統一候補の構図を作り上げ、貧困と格差や雇用と暮らしという、最も身近な課題を、政策の第一として闘うことができたのは重要な一歩だとしました。
その一方で、それぞれの組織・地域の要求課題を結びつける闘いができなかったことや、道政の権限や役割について深めることができていないこと、共闘の中で候補の選定が遅れた点も含め、道労連として、選挙を闘う構えが十分に作れなかった点は今後の課題だと総括しました。各組織が、道政の権限や役割などの分析や調査・提言をまとめ、道にむけた要求闘争をブラッシュアップし、たたかいの中から候補を擁立できる取り組みが重要だと強調しました。
方針の具体的な取り組みについては、単産・地域組織へのオルグをすすめて課題や打開の方向を一緒に考えていくことや、地域を軸にした運動の強化につなげるため介護など複数産別での同業種交流会、学習・教育活動の継続と労働相談の位置づけ整理と強化、平和運動をアップデートし担い手を増やすきっかけづくりのための「沖縄平和ツアー」や2024年の矢臼別平和盆おどりへの結集などを提起しました。
【大会討論】
気軽に話し合えるつながりから結成
北海道私教連 青山 亮介 さん
私学では、退職による自然減のあと、補充がされず職員が減り続け、学校現場は疲弊しているなかで、ある単組から20名の脱退通告があった。産別の「役員を担えない」などが理由としてあげられた。労働組合の姿が見えていないと、非組合員だけではなく組合員にもなかなか理解されにくい。
一方で、労働組合の必要性、役割は高まっていると感じる。旭川明成高校には組合がなく、常にトップダウンで教職員の賃金・労働条件が決められてきた。成果主義のもとで5段階評価され、かつ人件費総額も全体として引き下げる給与体系にされた。昨年50〜100万の給料ダウンが提案されて、「組合について」の学習や交流が始まり、38名のうち24名で今年1月に組合を結成し、道私教連に加盟した。
学校側が手配した弁護士を「返り討ち」にし、1回目の団交で賃金削減廃止、2回目には過去に削減された一時金削減を取り戻し完勝した。組合員からは「組合をつくって本当に良かった」と声があがっている。
結成のきっかけとなったのは、「部活」でのつながりだった。気軽にいろんなことを話し合える関係が大事。そうしたつながりを大切にして、組合の魅力を広げていきたい。
格差是正にこだわり200名超の拡大
道医労連 吉田 岳彦 さん
ユニオンショップ制度の組合での拡大は難しくないと思われるかもしれないが、非正規雇用の仲間についてはオープンになっていて決して簡単なことではない。ここ数年で200名程度の拡大を達成できたが、加入してくれた人の多くはパートタイマーなど非正規雇用の職員。同一労働同一賃金の実現に向けて、差別や格差を是正することを組合全体の最重要課題に位置付け、医労連の共済制度も知らせながら声かけを行ってきた。
いままでは支給されていなかった寒冷地手当を、パートタイマーにも支給させるよう組合で求め実現してきた。執行部だけではなく、非正規の仲間たちの声を、もっとダイレクトにぶつけていくことが必要だと話し合い、そこから呼びかけが増えていった。
組合が自分たちの職場や生活に役立つと思ってもらえることが大切。自分たちがどうして労働組合を大切だと持っているのかを語り、相手と関係をつくっていくなどCOの研修手法も重要だと思うので、より現場の実態に見合う内容にしていってほしい。
現場の声からはじめる組合運動で活性化へ
札幌地区労連 佐賀 正吾 さん
現場の声からはじめる組合運動を重視し、加盟組織のトップにアンケートを実施し、77組織中71組織から回答。活動で困っていることは、職場が多忙、役員のなり手がいない、集まれないなど。
これらの解決のために「トレーニング」が必要だという結論に。問題をしぼり込んで一歩目となる課題と解決方向を見つけたり、そのための関係づくりを進めるためのトレーニングに取り組んできた。
参加者から、自分の単組で活用してみたら活発化したなどの反応があった。道労連のサポートもお願いしながら継続していきたい。
リーダーを増やすゆにきゃん促進を
道高教組 更科 ひかり さん
組織拡大という言葉では理解できても、いざ自分がするとなるとたくさんのハードルがある。ゆにきゃんのコーチとして参加した経験から、自分がなぜ労組を大切に思っているのかということや、仲間が増えることで具体的に何を変えられるのかを相手と共有していくことが大事。
平均70時間以上の超過勤務があり、組合活動どころではないという声も少なくない。そんな状況でも何か力になりたいと思っている人たちをつなぎ、パワーを引き出していければと思い、ゆにきゃんに携わっている。
ワークショップ(体験・実践型講座)では、自分の過去の経験・心情を語ることで今のエネルギー源を探ることができる。ぜひ、若いリーダーたちにそういう体験をさせてあげてほしい。
具体的な提案として、ゆにきゃんへの参加を促進することと、心理的安全性の学習会などをおこなってほしい。組織拡大・強化、活性化のためにも「リーダーは増えているのか」など計測可能な指標を示してほしい。
900万人に直結、官民連携で賃上げを
北海道国公 山下 浩樹 さん
コロナ禍を通じて、公務公共サービスの拡充が、ますます重要になってきている。北海道国公でも現場の声を大切にしようとアンケートをもとに賃上げ要求をつくっている。
公務職場の人気が年々低下する中、優秀な人材確保のために給与水準の改善は急務だ。公務員賃金に準拠した賃金体系となっている労働者が全国には900万人もいる。
民間労働者の賃金改善に繋げ、景気を上向きに転換していくためにも市民へのアピールや人事院への訴えを強めていく。
現場の声受け止め地域と産別が結集
北見労連 福山 裕治 さん
北見では、この間、お互いの職場状況を交流したり、新しく組合に加入した人や若い組合員のつながりを重視してきた。そういう中で、全日赤北見支部の組合員から、看護師が年休を希望しても日程を勝手に変えられるということが続いているという話が出された。その話を聞いた北見労連の仲間たちが、「それは明らかに労基法違反だ」「許せない」と共感・励ましの声をあげ、「一緒にたたかおう」ということになった。
この問題は、単組でも何度か取り合げてきたが病院側の対応はスルーされてきたこともあり、北見労連に加えて、医労連本部や道労連の力も借りてたたかう方が良いのではないか、との話になり 上部団体に支援を要請した。
団交当日は、「自由に年休を取りたい」と声をあげた看護師など労組側は18名が参加。病院側もほぼ同数で団体交渉をおこなった。年休を申請しても振替休日に勝手に変更することや、年休を申請しても取得させないことは、「問題である」ということや、師長などに対して病院側として管理を徹底することなどを確認しました。
職場・地域で起きている問題を、みんなの団結でたたかい、変えていくという労働組合の根源的な役割を再認識することができた。今後も、全日赤の職場改善をめざして全面的に支援したい。
「声あげてもいい」 共感の場が大切
札幌地区労連 岩崎 唯 さん
最賃1500円の実現をアピールする取り組みとしてチームをつくり、札幌大通公園でビアガーデンデモを取りくんだ。若者たちは、さまざま我慢を強いられてきて、その我慢があたりまえになってきている。友人の冠婚葬祭や外食などは「贅沢」なこと。このままでは人間関係も、将来の展望もどんどん狭くなってしまう。
追い詰められている人がたくさんいるなか、デモに参加することで「一人じゃない」「声をあげていいんだ」という意識を持ってもらえる場を増やしていきたい。様々な立場があり、いろんな人がいる中、みんなで協力し合える、みんながともに生きていける社会をめざしたいし、最賃1500円はそのための重要な課題だ。
青年ユニオンでは、ハラスメント防止に向けての学習会を行って、ハラスメントを防止するためのアイディアなども話し合った。道労連は昨年の大会でジェンダー平等宣言を策定するとしたが、それだけにとどまらず道労連加盟の職場で「ハラスメント防止規定」が作成されているのか、どのように活用されているのかを調査するとか、Tシャツなどをみんなで着用してアピールするとか出来ることはたくさんある。具体的な行動を取り組んでいくことが大事。
【2023年度執行部】
議長 再・三上 友衛 (医労連)
副議長 再・尾張 聡(高教組)
再・出口 憲次(建交労)
再・野上 徹哉(札幌地区労連)
再・松田 啓一(北海道国公)
再・宮澤 毅(建交労)
事務局長 再・中川 喜征(福祉保育労)
事務局次長 再・伊藤 賢太(医労連)
再・竹田 吉宏(建交労)
執行委員 新・伊藤 愛 (函労会議)
再・岡 秀子(福祉保育労)
新・亀谷 学(道高教組)
再・河口 広行(北見労連)
再・川村 安浩(道教組)
再・田口 恭平(北海道国公)
新・中野 奈織美(道医労連)
再・中村 賢明(旭労連)
新・宮田 隆生(生協労連)
再・武藤 素子(女性部)
新・室岡 昇(年金者組合)
再・山本 隆幸(釧労連)
再・横山 傑(苫小牧地区労連)
定期大会をもって退任した役員
執行委員 岩瀬 英雄(函労会議)
小原 里美(生協労連)
紺谷 明史(年金者組合)
坂本 諭(医労連)
松野 修江(高教組)
※在任中の活動に対する、ご理解とご協力に心より御礼申し上げ
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