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  • 執筆者の写真道労連 DOROREN

最賃、過去最高の引き上げ

更新日:2022年9月16日

運動と世論の広がり力に、目安1円上積みの31円に

最低賃金とは?簡単にふりかえる

 最低賃金とは使用者が労働者に支払わなければならない、最低額を定める法律です。

 都道府県ごとにA・B・C・Dの4つにランク分けがされており、地域によって金額が変わっています。

 最低賃金の決め方は、毎年、厚生労働省の中央最低賃金審議会というところで、データーや労働者、使用者から話を聞き、金額改定の「目安」が出されます。その「目安」を参考にして、各都道府県の最低賃金審議会が意見をまとめ、各都道府県の労働局長が金額を決定しています。


過去最高の引上げ、全国の運動が力に

 今回、北海道では31円の引き上げ額が北海道最低賃金審議会よりだされ、10月2日から時間額920円が北海道の最低賃金になります。

 中央最低賃金審議会では、北海道などCランクの地方に30円の目安を出しましたが、北海道最低賃金審議会がそれを1円上回る金額を答申して、昨年の28円を上回る過去最高の引き上げ額となりました。

 私たち道労連をはじめ、全労連に加盟する労働組合は、生活に必要な金額は月いくらかかるのかを調査するために「最低生計費試算調査」を全国各地で取り組み、「8時間働けば人間らしく暮らせる」ためには、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上が必要であることを明らかにしてきました。

 そこから比べると、580円も低く、物価が上がっていることを加味した引き上げ額とも言えず、さらには、Aランクの東京(1072円)と比較すると152円の差があり、地域間の格差はさらに広がっています。


空疎な骨太方針、問われる本気度

 政府は、6月に決定した骨太の方針に「できる限り早期に最低賃金の加重平均(労働者数を加味した平均)が1000円以上」となることを目指すと明言していますが、今回の目安である3・3%の引き上げでは目標達成にはなお数年かかります。

 コロナ禍で、真っ先に生活苦に陥っているのは最低賃金に近い金額ではたらく労働者であり、そこに負担と責任を負わせ、「2022年までに全国平均 1000円を目指す」とした「雇用戦略対話合意」を遅らせてきた政権の責任は大きいと言えます。




内部留保の活用で、引上げは十分可能

 

2021年度だけでも12の道府県と124の市町村議会で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択されおり、下請法(下請事業者の利益を守り、取引の適正化を図る)や有力企業が競合相手を排除して市場を独占したり、独占禁止法(談合で価格競争を制限したりする行為を防ぎ、公正な競争環境を保つ)の法律の強化など政府の責任で、最低賃金の引き上げが可能となる中小企業支援策を行うべきです。

 大企業のお金のため込みは膨らみ続けており、それらを活用した公正な取引の実現と中小企業への支援を強化すれば、最低賃金の大幅な引き上げや全国一律制度の確立は十分可能です。

 貧困問題やジェンダー平等(ひとりひとりの人間が、性別にかかわらず、平 等に責任や権利や機会を分かちあい、あらゆる物事を一緒に決めることがで きること)の観点からも、引き続き最低賃金の大幅な引き上げ、地域間格差の是正などに全力をあげ、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘していきましょう。

(道労連事務局長・中川喜征)

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