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  • 執筆者の写真道労連 DOROREN

2024年の最低賃金改定に関する談話

 北海道地方最低賃金審議会は8月5 日、2024年度北海道地域別最低賃金を中央最低賃金審議会の目安と同額である「50円」引き上げ、時間額1,010円とする答申をした。答申された額は、昨年の引き上げ額40円を上回る過去最高額の引き上げ額となったが、物価上昇に対するわずかばかりの後追いにすぎず、最低賃金近傍の労働者の生活改善や、賃上げによる経済の活性化にもつながらない。

 道労連が2016年に取り組んだ最低生計費調査では、時給換算単純平均で1,289円(中央最低賃金審議会で用いる労働時間=月173.8時間で除した)。さらに、一般の労働者の所定内労働時間(月149.3時間)で時給換算単純平均額では1,501円であった。


 道労連は今年、静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授による監修で、2016年に公表した最低生計費の再改定に取り組んだ。2016年から2024年4月にかけての物価変動を「消費者物価指数」(CPI)を用いて分析し、再試算したところ、2024年改定版では普通の生活に必要な費用は、単純平均で259,283円(税・社会保険料込み)。時間給換算(月173.8時間)では単純平均1,491円となり、一般の労働者の所定内労働時間(月149.3時間)時給換算単純平均では1,736円となる。北海道で働き暮らしていくために、少なくとも時給1,500円以上が必要であることがゆるぎないものとなった。


 時給1,500円に関しては、政府は次なる最低賃金の目標として「2030年半ばまでに全国加重平均1,500円に引き上げ」を掲げており、この数字の妥当性を認めている。

2 016年の試算結果と比較すると、生活に必要な金額は12.3%上昇しており、賃金が物価上昇分に合わせて上がっていなければ、労働者の暮らし向きがより苦しくなったことを意味する。あらゆるモノの値段が上がっており、北海道で健康で文化的な生活を送るためには1700円以上が必要である。実際に、名目賃金はこれほどには上昇しておらず、実質賃金は2年連続でマイナスとなっており、今回の答申は一桁足りないと言わざるを得ない。


 今回の中央審議会が出した目安は全てのランクの引き上げ額を同額50円としたことは、地域間額差を広げた昨年の答申に比べ一歩前進したといえるものの、地域格差の解消を地方に丸投げされており、ランク制の必要性が問われている。


 2020年度から2023年度にのべ502の自治体で最低賃金の引き上げと「格差の是正」、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択され、その声は年々広がってきている。昨年に続き、山形や秋田などをはじめ今年もいくつかの県知事が最低賃金の引き上げの改善要望を表明しており、政府はその声に応えるべきである。背景には都市との賃金格差で人口が流出し、地方の人手不足が進む危機感が強まっていることがある。北海道でも人口減少・少子高齢化の進行に加え、首都圏への人口流出が続いている状況にある。中でも女性の道外流出が著しく、転出の理由として道外へ仕事を求め、最初の就職、転職、転勤などが半数を占めている。

 ジェンダー平等の観点からも、道労連は引き続き貧困問題や物価高騰に対応できる『いますぐ1,500円以上、めざせ1,700円』の実現・全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。


2024年8月6日

北海道労働組合総連合

事務局長 中川 喜征


 





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