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執筆者の写真道労連 DOROREN

最低生計費試算調査をアップデートしました

 北海道労働組合総連合(道労連)は、2016年に初めて北海道で労働者が普通に暮らすためには、どのくらい費用がかかるのかを明らかにするための調査=「最低生計費試算調査」を実施しました。


 その後、消費税の増税やあらゆる物価が高騰していること、コロナ禍を経て生活スタイルにも変化がみられることなどから、今年8年ぶりに「最低生計費試算調査」を更新しました。


 調査手法は、道労連に加盟する各単産・ユニオンの労働者などを対象に、生活のパターンを調べる「生活実態調査」および持ち物をどれくらい所有しているのかを調べる「持ち物財調査」を実施し、その結果を精査し生活に必要な費用をひとつひとつ丁寧に積み上げる、マーケット・バスケット方式を採用し、科学的に算定したものです。


 今回、2016年に公表した最低生計費について再試算を行ったところ、普通の生活に必要な費用は、男性で月額262,307円、女性で同256,259円でした(いずれも税・社会保険料込み)。


 今回の改定は、主に2016年から2024年4月にかけての物価変動を総務省統計局公表の「消費者物価指数」(CPI)を用いて分析し、係数を各費目に乗じたものです。それ以外に、コロナ禍を経てライフスタイルの変化がみられ、サブスクリプション費用の追加、結婚式費用の減少などの積み上げ項目の変更も行っています。


 改定結果を2016年の試算結果と比較すると、12.3%上昇しています(男女平均)。賃金が上昇していなければ労働者の暮らし向きがより苦しくなったことを意味します。実際に、名目賃金はこれほどには上昇しておらず、実質賃金は2年連続でマイナスとなっています。


 今年の最低賃金改定により、北海道では最低賃金が50円(4.3%)引き上げられ、1010円となりました。しかしながら、今回の改定により、最低賃金は少なくとも時給1,500円ほど、人間らしい労働時間も加味すれば時給1,700円以上必要であるという結果が出ており、すみやかな引き上げが求められています。


 時給1,500円に関して政府は昨年、最低賃金の目標として「2030年半ばまでに全国加重平均1,500円に引き上げ」を掲げており、この数字の妥当性を政府も認めています。


 さらに、最低生計費に地域差がないことが、他の地域における調査結果から明らかになっており、徳島、山形、岩手、秋田など各県知事からも声があがるなど、全国一律の最低賃金制度が望まれています。


 国内総生産(GDP)の5~6割を占める個人消費を喚起することは、日本経済のみならず、北海道経済にとってもきわめて重要です。そのためには、賃金の底上げが必要であり、最低賃金の全国一律での引き上げは切実です。

 「あるもの」から、「あるべきもの」のへ。私たち道労連は、最低賃金1500円・全国一律制のすみやかな実現を求めて、引き続き運動を進めていきます。






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